橋の種類

橋には、様々な構造があります。有名な橋では明石海峡大橋、レインボーブリッジでしょうか。実は、橋の構造には種類があり、橋の長さや条件によって種類(構造形式)が違います。ここでは代表的な6種類について説明します。

プレートガーター橋(桁橋)

プレートガーター橋は、桁(けた)をかけ、その上に床版を付設することで通行可能にした橋です。プレートガーター橋は、橋の中では最も一般的な構造です。プレートガーター橋の特徴は、施工や設計が簡単であることですが、橋のたわみや強度の問題から、スパン(橋脚から橋脚までの距離)を長くすることができません。遠くまで橋を架ける場合は、たくさんの橋脚が必要となります。プレートガーター橋は、梁として計算すればOKです。主要な部材は桁だけなので、その応力とたわみを計算すれば断面が決定されます。
東京湾アクアライン
 

ラーメン橋

橋梁の主桁は、荷重の作用や温度変化の影響により、伸縮や回転などの変形を起こします。そこで、主桁と橋台・橋脚の間には支承と呼ばれる伸縮や回転を吸収する部材を設けるのが一般的です。これに対しラーメン橋は、この支承を設けず、主桁と橋脚や橋台を剛結する橋梁形式です。ラーメン橋では支承が不要もしくは少なくてすむため、その分の工費を抑えることができます。とりわけ日本においては、阪神・淡路大震災を契機に橋梁の耐震設計が大幅に見直され、高い耐震性能を有する支承が求められるようになってきました。これにより支承にかかるコストが上昇、橋梁上部工工費の30%以上を占めることもあり、ラーメン橋の経済性がさらに高まる結果となっています。
灘浜大橋

トラス橋

トラス橋は、部材を三角形になるよう接合した骨組みで造る橋です。橋で使われるトラスには、ワーレントラス、ブラットトラス、ハウトラスなど様々な形状のトラスがあります。トラス橋は、力を合理的に伝達可能のため、桁橋やラーメン橋に比べてはるかに長いスパンを飛ばすことができます。比較的全長の大きな橋をトラス橋にしたり、列車が通る橋をトラスにしたケースはよく見られます。ワーレントラスの場合、上弦材は圧縮力、下弦材は引張力が作用します。斜め材は、トラスの形状により引張・圧縮力の方向が変わります。束材は引張力が作用します。いずれにしても、トラス部材には「軸力」のみが作用します。部材はせん断力や曲げモーメントが作用すると弱いのですが、軸力には強いです。よって、トラス橋は桁橋に比べてとても強くなり、長いスパンを飛ばすことができます。
東京ゲートブリッジ(東京都)

アーチ橋

アーチ橋は、アーチ形状の骨組みを架けてつくる橋です。アーチにすることで、まっすぐな桁より強くなります。桁橋は主に曲げモーメントが作用しますが、アーチ橋は曲げモーメントが減って軸力が作用します。その分、合理的に力を伝達できます。
また、アーチ橋は景観的にも優れています。欧州では石造りの橋が多いですが、それらのほとんどがアーチ橋です。
日本では、山口県の錦帯橋や長崎県にあるメガネ橋などが有名です。アーチ構造は、支点に作用するスラストの処理がポイントです。プラスチックのものさしを曲げてください。元に戻ろうとする力が働きます。この力がスラストです。スラストの処理は、タイバーや補鋼桁によって行います。また、路面より下側にアーチ骨組みを設ける構造もあります。アーチ部材の抵抗力の違いによって、ランガー橋やローゼ橋などの種類があります。ちなみに、橋の名前は、考案した人の名前が採用されることが多いです。
大三島橋(しまなみ海道)

斜張橋

大規模な橋になると斜張橋の構造が採用されます。斜張橋は、路面を受ける桁をケーブルによって吊る橋です。上からケーブルで釣るために、タワー(塔)があります。
ケーブルには引張力のみ作用します。ケーブルは鋼材ですが引張力だけなら、沢山の力を伝えることが可能です。斜張橋は、ケーブルの本数や、張り方など様々な形状が存在します。大スパンの鋼製橋としては、多々羅大橋(890m)があります。吊り橋と斜張橋は、いずれもケーブルの張力を利用した吊り構造という点では同じです。大きく異なるのは、斜張橋が塔と桁をケーブルで直結しているのに対し、吊り橋は塔の間にまず渡したメインケーブルがありそこから垂らしたハンガーロープで桁を吊っていることです。このため、桁に掛かる力は、吊り橋では垂直方向の張力だけですが、斜張橋では垂直方向の張力に加えて橋軸方向の圧縮力が作用します。また、吊り橋では両端にアンカーブロック、またはアンカレイジというメインケーブルを繋ぎとめる重しが必要ですが、斜張橋では桁に作用する圧縮力とケーブルに作用する引張力を塔の左右で釣り合わせるために不要となります。
多々羅大橋(しまなみ海道)

吊り橋

吊橋は、空中に張り渡したケーブルから吊材を介して桁を吊った構造です。世界最大級の橋として、明石海峡大橋がありますが、最大スパンは1991mです。吊橋は、タワーから張り渡したケーブルが全ての力を負担します。ケーブルには引張力のみ作用し、吊材も同様です。桁は吊材により、吊られるので問題となる応力は作用しません。合理的な構造形式で、日本のみならず世界中で採用されています。
 

明石海峡大橋(兵庫県)